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会社を作るメリット
その1 もちろん節税のため
 節税対策で会社を設立するというのはよく聞きますが、それでは会社を作ると実際、税金がいくらぐらい安くなるのでしょうか。
 例として所得が600万円、各種控除が200万円である個人事業主(白色申告者)について考えます。この場合、事業主の所得税は376,000円です(平成14年度、以下同じ)。これに対し、事業主が会社を設立して役員になれば所得税は180,800円になります。なぜ195,200円も安くなるかというと所得が事業所得から給与所得に変わるからです。すなわち会社を設立し、事業主が会社の役員になれば、その者は会社から役員報酬を受けとるという形になります。この役員報酬は給与所得にあたりますが、給与所得は事業所得の約7割で計算されます。先の例では役員の給与所得は426万円になり(71%)、所得が174万円も減るわけです。
 さらに重大なのは個人の住民税や事業税も所得を基準に算定されるということです。そのため税金の合計ではさらに大きな差が出ます。冒頭の例であれば個人事業主の所得税、住民税、事業税の合計より会社の法人住民税と役員の所得税、住民税の合計の方が33万円以上も安くなります。
 当事務所にも3月の確定申告後、「税金がこんなに高くなるとは思わなかった」と言って、会社設立を依頼される事業主の方がよくおこしになります。

その2 親会社や取引先の要求
 会社を作る理由として意外に多いのが「親会社や取引先の要求」です。個人事業主が親会社や取引先から「いつまでも個人ではだめだよ」とか、場合によっては「会社の方針として今後、法人にしか仕事を出さないことになった」と言われたため会社を設立することはよくあります。

その3 顧客獲得のため
 会社を作ると顧客獲得に有利かは業種によってかなり異なります。一般に飲食店や小売業のような個人(消費者)が顧客の業種は会社名が表に出ることが少ないので、効果は少ないといえます。これに対し、会社(事業者)を顧客にする業種だと個人か会社かで差が出るようです。特にある程度の規模の会社と取引をしようとすれば、「個人では相手にされない」という話はよく聞きます。

その4 役所の許可の二度手間を避けるため
 新しく事業を始める場合は当初、個人で始め、会社にした方がメリットがあると判断した時点で会社を設立するのが通常だと思います。しかし営業をするのに役所の許可がいる業種では注意が必要です。例えば建設業や宅地建物取引業、産業廃棄物処理業、運送業などは個人、会社を問わず、営業をするには関係官庁の許可が必要です。これらの許可はいったん個人で取っても、その後、会社を作ると再度、会社で取り直さなければなりません。もともとこれらの許可を取るにはけっこうな手間や経費がかかるので、2度手間を避けるためにあらかじめ会社を設立し、当初から会社で許可を取ることも検討されるべきだと思います。

株式か有限かそれとも合資か
 会社には株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4種類がありますが、数としては株式会社と有限会社が圧倒的多数です。ではこれから会社を設立する場合はどの会社を選べばいいのでしょうか。それは結局、上述した会社のメリットのどれを目的とするかによります。
 親会社や取引先から要求されたり、顧客獲得を目的とするなら株式会社か有限会社が無難です。株式会社と有限会社の違いは前者が資本金は1000万円以上、役員は取締役3名以上、監査役1名以上が必要であるのに対し、後者は資本金は300万円以上、役員は取締役1名以上で足りるということを押さえておけばいいでしょう。また有限会社には資本金を1000万円以上に増資すれば、会社の同一性を維持したまま株式会社に変更できる「組織変更」という制度があることも覚えておいて下さい。
 これに対して節税対策のみを目的とするなら、どの会社でもかまわないでしょう。当事務所でも節税対策のみを目的とした合資会社の設立の依頼はときどきあります。ただ次に述べる株式会社、有限会社の最低資本金規制の特例が認められたため、「資本金がないので合資会社を作る」という必要性は減少しました。それでも設立費用は株式会社や有限会社より合資会社の方がかなり安いです。これは合資会社の定款は公証人の認証が不要だからです。

資本金1円で株式会社や有限会社ができるようになったが
 平成15年2月から株式会社、有限会社の最低資本金規制の特例が認められました。具体的には経済産業局の確認書を設立登記申請書に添付すれば、最低資本金(株式会社1,000万円、有限会社300万円)の規制が免除されます。これにより資本金1円で株式会社や有限会社が設立できるようになりました。これについては経済産業省のホームページがたいへん充実しているので、詳しくはそちらをを見てください。
 ただこの特例で設立した会社は5年以内に最低資本金以上とする増資をしなければなりませんし、それまで毎決算期後に決算書を経済産業局に提出するなど、通常の設立に比べ設立後の手間と費用がかかります。したがって最低資本金の用意ができる方は通常の設立をおすすめします

会社のデメリット
 先に会社のメリットを説明しましたが、会社設立にはデメリットもあることに注意して下さい。
 第1に法人税の確定申告は必ず貸借対照表や損益計算書などの決算書類を添付しなければならず、そのため経理や決算、確定申告がたいへんになるということです。特にそれまで白色申告だったり、貸借対照表を作成しない青色申告をしていた事業者にとってはかなり負担が増えることになります。もちろん新たに税理士に依頼すれば税理士報酬がかかります。
 第2に法人住民税には所得がなくても納めなければならない均等割が最低でも7万円あります。そのため会社の所得が少なく、事業所得に対する税額と給与所得に対する税額の差が7万円以下になるような場合は、法人住民税の分だけ会社の方が税金が高くなります。この法人住民税を免れるため、近年、会社を解散し、個人事業主に戻る例が増えています。
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